メタバースのメリット・デメリットとは?課題や注意点
前回「メタバースとは?」について解説させていただきましたが、今回はメタバースのメリットやデメリット、課題などについて解説します。
メタバースのメリット
今後予想されるメタバースによる革命は「3D仮想空間が民主化」されることです。
限られた人だけじゃなく、誰もが3Dの仮想空間をつくることができるし、お客さんとしても楽しめる。そんな民主的メタバースのメリットには以下の6つのことが挙げられます。
- 01.ビジネスの可能性が広がる
- 02.コスト削減につながる
- 03.制限なく24時間365日いつでも体験
- 04.オフィスや施設、店舗の建設が容易
- 05.実際に近い形でシミュレーションできるように
- 06.自分が求めるコミュニティでより自分らしく
01.ビジネスの可能性が広がる
現実の世界とは異なるところに新たな空間ができるので、多くのビジネスの可能性が広がる。
すでにメタバースに街をつくって広告出稿している企業もあり、NFTアートもメタバースから生まれたビジネスのひとつ。
※NFTアートとはブロックチェーン技術を用いて作成される代替不可能なデジタルアートのこと。
02.コスト削減につながる
オフィスや店舗をメタバースに移行すると、リアルオフィス・店舗に出勤しなくて良いので、交通費をカットすることができ、従業員は世界中どこでも暮らすことが出来る。
人が来ないのでリアルのオフィス・店舗をなくしたり縮小したりできるので、家賃や光熱費の削減にも繋がる。
03.制限なく24時間365日いつでも体験
実際に行かなくても手軽にイベントに参加ができるし、もしメタバースにテーマパークができたら、現実ではありえないようなアトラクションも誕生するでしょう。
収容人数はこれまでよりも桁違いに増え、現在のようなコロナ渦による人数制限なども全く必要ありません。時間の制約もなくなるので、24時間365日いつでも遊びに行けるのです。
VRゴーグルを利用すれば、友人とアバター同士で空間を共有できるので、物理的な距離を気にすることなく楽しめるでしょう。
04.オフィスや施設、店舗の建設が容易
建築業であれば、建物を建てる際の事前調査にも活用できます。
ビルの建設予定地と同じものをメタバースにつくり、そこに実際にビルを建てることができます。
どこに影ができて、街全体の景観はどうなるか?など細かい検証が低コストで可能なのです。もしも検証した結果、都合が悪ければコピペしてまた別の仮想空間で検証することができます。
05.実際に近い形でシミュレーションできるように
医療の現場でも有効に活用されることが予想され、3Dの立体データを操ることが可能なので、これまで二次元で扱っていたレントゲン写真を三次元の立体で扱えるようになり、より実際に近い形でシミュレーションできるようになります。
06.自分が求めるコミュニティでより自分らしく
現在でも自分が求めるコミュニティをSNS上につくり、その中で交流することはできますが、メタバースによってさらに加速することが予想されます。
リアルな世界が生きづらい、価値観が合わないと感じているならば、そこに固執しないで、新しい世界に仮想空間をつくり、そこで自分らしく生きられるのです。
メタバースのデメリット・注意点
「依存性の高さやセキュリティの脆弱性が指摘されるメタバース」
さまざまな分野での広がりに期待値の高いメタバースですが、デメリットや注意点があることも忘れてはいけません。
3つのデメリット
- 01.深刻な依存性の高さ
- 02.危険が潜む匿名性の世界
- 03.セキュリティの脆弱性
01.深刻な依存性の高さ
依存性の高さは指摘も多いです。その仮想空間が魅力的であればあるほど、依存性の高さは深刻です。
中国伝媒大学教授のRuiChen氏は「VRゴーグルなどを用いてプレイするゲームは、従来のPCでプレイするゲームと比較して、依存性が44%高い」と発表しています。中でも脳の発達が未熟で、社会と交流する機会が少ない若年層においては、依存のリスクはさらに高まるそうです。
02.危険が潜む匿名性の世界
メタバースは匿名性が高く、バーチャル空間で出会った素性のわからない相手から、嫌がらせなどの攻撃を受ける可能性もあるので、未成年、特に子どもの利用においては、ルール整備が必要です。
03.セキュリティの脆弱性
メタバースでは、ユーザの情報や制作した空間・オブジェクトのデータはサーバーに保管されます。データを保護するセキュリティへのサイバー攻撃は、近年増加傾向にあり、個人情報や資産が悪用されるリスクがあります。
アカウント乗っ取りによる不正利用や、なりすましアバターによる詐欺行為など解決すべき問題も少なくありません。
メタバースの課題
例えば、メタバースを利用するためにはVRヘッドセットを着ける必要があるなど、否定的な声や利用者の負担が問題視されています。
また、SNS上などでデマ情報や犯罪につながる情報、いじめなどの問題をコントロールできていない状況で、さらに自由度が高いメタバースの世界が普及していくと、対処がより困難になるとも言われてます。
さらに法整備も大きな問題です。例えば、日本の民法は基本的に「物理的なモノ」がその対象範囲となっているため、メタバース上では所有権が認められまず、仮にメタバース上でデジタルデータが盗まれてしまった場合、法律で罰することが困難になります。
以上から、メタバース上でビジネスを展開する際には、自社のビジネスに関連する法律をよく理解しておく必要があります。法律を理解していなければ、思わぬ法的リスクを抱えてしまう可能性があるためです。