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OODAループとは?メリットや重要性、PDCAとの違いについて

OODAループとは?メリットや重要性、PDCAとの違いについて
「PDCA」はよく登場させることがあり、例えばWeb広告運用をご提案する際「毎月広告の反響を評価して企画・改善、実行といったPDCAサイクルを繰り返し、広告効果を最大化してまいります」といった内容で提案のベースを作ることができます。

但し、PDCAサイクルは「状況の変化によって、うまく回らなくなることがある」といった弱みがあります。

今回は、様々な分野で取り入れられている、変化への対応に強い「OODAループ」の定義やメリット、重要性、PDCAとの違い、実施事例について解説していきます。

OODAループとは?

OODAループは、Observation(観察)、Orientation(方向付け)、Decision(決定)、Action(行動)の頭文字を取ったもので、これが一連のサイクル(ループ)を形成します。

このフレームワークは米国空軍の戦闘機パイロットであったジョン・ボイドによって考案され、特に戦場のような不確実性が高く、迅速な判断が求められる状況での意思決定モデルとして有名です。

1.観察(Observation)

環境を観察し、情報を収集します。これは競争相手の行動、市場状況、顧客の反応などを含む可能性があります。

2.方向付け(Orientation

収集された情報を解析し、状況を理解し、可能な戦略を考え出します。このステージでは、過去の経験や予測も参考になります。

3.決定(Decision)

最善のコースを決定します。このステージでは、可能な選択肢の中から最適なものを選び、行動計画を作成します。

4.行動(Action)

決定した行動計画を実行します。
OODAループとは?メリットや重要性、PDCAとの違いについて
このループは一度で終わりではなく、行動の結果を観察することで新たなループが始まります。したがって、このフレームワークは継続的な学習と改善が推奨されます。

OODAループのメリットや重要性

OODAループの主なメリットは、その反復性と柔軟性にあります。

それぞれのフェーズでは情報の収集と解析、戦略の開発と実行が行われますが、これらは全て迅速に行われ、結果をもとに再び観察フェーズに戻ることで素早いフィードバックと改善が可能になります。

OODAループの重要性は、特に不確実性が高く、迅速な意思決定が求められる状況で際立ちます。以下に具体的なポイントを挙げました。

・迅速な意思決定

OODAループはその構造上、迅速な意思決定を促します。観察から行動までの各段階を素早く進行することで、変化する状況に対して素早く反応することが可能となります。これは、競争が激しく、変化が速いビジネス環境や、軍事作戦、緊急事態などで特に有効です。

・適応性

OODAループは、各ステージで新たな情報を取り入れ、それに基づいて行動を修正することを強調します。これにより、環境の変化や新たな情報に対応する適応性を高めることができます。

・連続的な学習と改善

OODAループは繰り返し行われるプロセスであり、その結果をもとに次の観察・方向付け・決定・行動が行われます。これにより、組織や個人は連続的な学習と改善を通じてパフォーマンスを向上させることが可能となります。

・戦略的優位性

OODAループは、自分自身がループを早く回すことで相手よりも早く情報を理解し、決定し、行動することを可能にします。これにより、競争相手や状況の変化に先んじて行動することができ、戦略的な優位性を獲得することが可能となります。

これらの理由から、OODAループはビジネスだけでなく、スポーツ、軍事作戦、緊急対応などの幅広い分野で有効なフレームワークとなっています。特に、迅速な意思決定と適応性が求められる現代のビジネス環境において、OODAループの重要性はますます増しています。

OODAループとPDCAサイクルの違い

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Act(改善)の頭文字を取ったもので、一連のプロジェクト管理のフレームワークです。このモデルはビジネスプロセスの改善や品質管理でよく用いられます。

PDCAサイクルとOODAループはどちらも反復的な意思決定フレームワークであるという共通点があります。しかし、その適用範囲と重視する観点に違いがあります。

その1.適用環境

PDCAは比較的安定した環境や長期的なプロジェクトで最適化されています。
一方、OODAループは高度な不確実性と迅速な反応が必要な状況で優れた結果を示します。

その2.速度

OODAループは迅速な意思決定と行動を強調します。
一方、PDCAはより体系的なアプローチであり、しっかりと計画を立て、それに基づいて行動し、結果を評価し、改善するというプロセスを重視します。

その3.方向付け(Orientation)

OODAループは方向付けのステージで、観察した情報の解釈や分析を強調します。
これは自分の経験や予測を利用して、情報を理解し、最善の行動を決定するためのものです。一方、PDCAサイクルではこの要素が直接的には含まれていません。

したがって、これらのフレームワークの選択は、その状況や目標によって異なるかもしれません。
迅速な反応が求められ、環境が頻繁に変化する状況ではOODAループが有効で、長期的な計画や体系的な改善が必要な場合はPDCAサイクルが適していると言えるでしょう。

OODAループの実施事例

OODAループは、主に高度な不確実性と急速な変化が存在する状況で有効とされます。ビジネス、軍事作戦、緊急対応など、多岐に渡る状況で適用されています。以下に、それぞれの分野でのOODAループの実施事例を紹介します。

・ビジネス分野

Apple Inc.は、OODAループの良い実施例とされることが多いです。

Appleは市場を観察し、競合他社との差別化を図ります(Observation)。
次に、その情報を利用して市場の動向を理解し、新製品の開発に役立てます(Orientation)。
製品開発における決定は、観察と方向付けのフェーズで得られた洞察に基づいています(Decision)。
そして、新製品を市場に投入します(Action)。

この一連のサイクルを素早く回し、新製品を迅速に市場に投入することで競争優位を維持しています。

・軍事作戦

OODAループは元々、軍事的な状況での意思決定を助けるために考案されました。

例えば、無人機の遠隔操作において、現場からの情報を即座に観察し(Observation)、
その情報を迅速に解析して状況を理解します(Orientation)。
次に、対応策を決定し(Decision)、それを実行します(Action)。

このプロセスは、状況が刻々と変わる戦闘状況において非常に重要となります。

・緊急対応

自然災害や大規模事故などの緊急対応でも、OODAループは役立ちます。

例えば、地震が発生した場合、まず現場の情報を速やかに収集します(Observation)。
それを基に、被害の状況を理解し、必要な支援を決定します(OrientationとDecision)。
そして、救助活動や物資の供給などの行動に移ります(Action)。

その後も、状況が変化すれば新たに情報を収集し、対応策を更新するというループが繰り返されます。

これらの事例からも分かるように、OODAループは迅速な意思決定と適応性が求められるさまざまな状況で有効なフレームワークとなります。

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